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第2のスタートアップとしての企業再生

   2024.08.19 (月) 11:02 AM

・スタートアップとは、起業が若く、新しいビジネスモデルをもって急成長を目指す企業をイメージする。政府は、こうしたスタートアップを生み出し、育てるエコシステムの構築を掲げて、政策を推進している。

 ・一方で、上場企業、未上場企業を問わず、勢いをなくし停滞している企業も多い。成熟から衰退に向かいそうな企業を救う手立てはあるのか。激変緩和を助ける補助金が活きればよいが、企業の新陳代謝を妨げて、経済の活力を失ってしまうようでは本末転倒である。

 ・中堅・中小企業のM&Aをサポートする上場企業の元気がよい。ストライク(コード6196)の会社説明会に参加して、荒井社長の話を視聴した。どこに元気のもとがあるのか。参考になった点をいくつか取り上げてみたい。

 ・中堅・中小企業の経営者の高齢化が進む中で、後継者不在の企業が、社外の第三者へM&Aによって、事業継承を行う割合が増えている。

 2023年の中小企業白書によると、2022年に休廃業・解散した約5万社のうち、5割超の企業は直前期の決算が黒字であった。事業価値を散逸させるのではなく、次世代の意欲ある経営者へ事業承継し、価値創造を継続・拡大していくことは極めて重要である。

 ・さらに、事業承継だけでなく、これまでの事業をコアにして、事業変革や新規事業の創造に臨むことも求められる。そのためのM&Aがますます重要になっている。成長戦略の遂行に向けて、イノベーション型のM&A、新規事業創出型のM&A、事業基盤強化型のM&Aなどが加速しつつある。

 20239月に「中小M&Aガイドライン」(経産省)が改訂されたが。M&A支援機関による支援の質の確保・向上には一段と力を入れていく必要がある。一定のルールや自主的規制が明確にされることによって、M&Aが進みやすくなり、事業再編が進みやすくなる。業界の発展に資することにもなろう。

 M&A仲介企業のビジネスモデルは、1)譲渡先、買収先の双方から仲介報酬を得る収益モデルを基本とし、2)互いの利益相反に配慮しつつ、3)双方の顧客満足度を図ることを最重要視する。

 ・譲渡を希望する企業の企業価値を評価し、それを基に、候補企業の選定に入る。買収を希望する企業に対しては、M&A仲介依頼契約を締結後、買収意向表明書の提出を経て、双方の企業のトップ面談・条件交渉に入る。

 ・基本合意の締結、最終合意の締結を経て、M&Aのクロージングに至る。このプロセスにおいて、①基本合意報酬、②成約報酬が仲介料として入ってくる。

 報酬体系は、M&A仲介企業によって異なる。譲渡希望者が相談しやすいか、買収希望企業が受け入れやすいか、という点が重要である。仲介料の妥当性、中立性、透明性も求められる。

 ・国内のM&A市場規模はどのくらいか。上場企業の公表M&A数(適時開示ベース)は2023年で1068件、5年前の785件から年々増えている。ストライクでは、未上場のM&A件数はこの10倍はあるとみている。M&Aは企業戦略にとって、今や当たり前となり、ますます増える方向にある。

 ・「全国社長の年齢調査」(東京商工リサーチ)によると、経営者の平均年齢は2023年で63.8歳、年々上がっている。

 ・経営者の引継ぎ割合(帝国データバンク「後継者不在率」動向調査)をみると、2023年のデータでは、親族内承継は33.1%(前年37.6%)へ減少し、内部昇格35.5%(同33.3%)とM&A・外部招聘27.5%(同25.7%)が増えている。

 ・今のところスタートアップ企業のM&Aは少ないが、今後増大する余地は大きいとみられる。オープンイノベーションとして、スピード重視で新しい領域へ進出できるからである。但し、R&D型であればあるほど、うまくいかないことも多いので、この点を十分踏まえて取り組む必要がある。

 ・制度として、M&A支援業者の登録制度(中小企業庁)が始まっている。必須ではないが、ほとんどの業者が登録している。今年3月で3123件の登録がある。

 そのうち、専従者数が100人以上の企業は6社、10人未満が96%を占める。業界団体として、「M&A仲介協会」(一般社団法人)202110月設立されており、ストライクの荒井社長が代表理事に就いている。

 ・ストライクの主要財務指標をみると、20249月期の会社計画は、売上高182億円、営業利益70億円(前期比+35%)、売上高営業利益率38.6%である。現状で、PBR 4.4倍=ROE 27.8%×PER 15.8倍である。今後とも年20%以上の成長を見込んでおり、事業領域の広がりに注目したい。

 

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