将来に向けたNISAとiDeCoの活用
2023.08.15 (火) 1:43 PM
・金融に興味のない若者にどう語りかけるか。いきなり老後の話をしても、とても自分事とは考えられない。まずは身近な仕事の話から、株式投資にもっていくようにしている。これでもハードルは高い。
・iDeCo(イデコ)と新NISAはどうか。これはもっと難しいが、何とか知ってもらいたい。とにかく、そういうものがあると意識してもらえれば、情報は目に飛び込んでくるようになる。少し関心があると、情報にふれる機会は圧倒的に増えてくる。
・iDeCo(個人型確定拠出年金)は、会社に企業年金がない社員は、月2.3万円(年27.6万円)まで拠出できる。企業型DC(企業型確定拠出年金)のみに加入している会社員も、条件によって月2万円まで拠出できるようになっている。
・国や会社の年金積立に参加するだけでは、老後の年金が十分でないと考える人にとっては、iDeCoはもう1つのサポート役として、老後への備えとなろう。運用益に税金がかからないというメリットが、将来の資金作りにプラスと働く。
・将来に備えて、例えば月1万円は拠出しておくと決めて、iDeCoに加入すればスタートできる。その後、運用する商品を自分で決める必要がある。これも迷うところである。最初は標準的な投資信託を選んで、次第に投資信託の特徴を学んでいけばよい。
・iDeCo(個人型DC)への加入者はまだ240万人強である。この5年間で増えてきた。転職が次第に当たり前になってきたので、将来に自ら備えをしたい40~50代で増えている。公務員や自営業の人々もコロナ禍で増加してきた。
・新しいNISA(ニーサ)は来年からスタートする。これまでのNISAは使えるので、まずは今年分のNISA枠は活用しておきたい。NISA(Nippon Individual Saving Account)とは、少額投資非課税制度で、個人のための税制優遇制度である。
・これまでの制度において、1)一般NISAは、投資枠年120万円、非課税期間5年、上場株式や投資信託が対象、2)積み立てNISAは、投資枠年40万円、非課税期間20年、積み立てに適した投資信託が対象であった。
・120万円×5年で600万円、40万円×20年で800万円、のどちらかを選んで、その上限まで非課税枠が使える。つまり、運用益に税金がかからないので、リターンを増やす可能性が、その分高まる。
・来年から始まる新NISAでは、1)非課税期間の制限がなくなり、恒久化がなされた。つまり、投資したリターンはずっと非課税である。2)積み立て枠が年120万円(従来の3倍)、成長投資枠が年240万円(同2倍)となった。
・3)さらに、どちらかでなく、併用が可能となるので、年間360万円まで投資できる、4)上限が成長投資枠で1200万円、積み立て型で600万円なので、合計で生涯投資枠は1800万円となる。
・5)しかも、非課税投資枠の再利用ができる。例えば、ある年に成長投資枠として株式に投資して、それが値上がりした後売却したとすると、その値上がり益は無税である。それに加えて、購入時の元本の額は、再投資した時の非課税枠として使える。これは有利である。
・さまざまな投資のやり方が考えられる。中高年で資産のある人は、年間240万円×5年で1200万円分の株式投資や投資信託投資を非課税にできる。加えて、毎月10万円の積み立て投信(5年で最大600万円)もできる。
・若い人であれば、例えば毎月3万円の積み立てNISAを行い、たまに興味があれば、成長NISAも使ってみるのがよい。運用の対象商品は、次第によく吟味して、見直していくことが望ましい。
・これによって投資感覚が磨かれてくる。普段は放っておいてもよいが、たまにはしっかり確認して、次の行動に活かしたい。但し、くれぐれも目先にとらわれて、短期的に動かないことである。
・課題は運用商品の選択にある。現金では、インフレに対抗できない。国内株、外国株、国内債、外国債、リートなど、どんな運用商品を選ぶのか。国内株式なら自分で選ぶのか。投資信託も多様なものが用意されているが、どのような運用方針を選ぶのか。
・安全型を選ぶのか。積み立て型を選ぶのか。海外ものをどこまで取り入れるのか。新しい商品はリスクが高いのではないか。過去のパフォーマンスがよい実績(トラックレコード)重視が望ましいともいえる。
・30年後は誰にも分からない。では、30年前を振り返ってみて、30年後の今の姿はイメージできたであろうか。確かに難しい。でも、30年後を想定しておくことは意味があろう。
・やはり1800万円の非課税枠は使うように心がけたい。自分だけでなく、子どもや親せきや知人にも話しかけて、互いの不安を共有しつつ、理解を深めたい。
・金融投資は少額で始めて、少しずつ体験を積んでいく。そうするとマーケットの動きに対する対応が身に付いてこよう。ぜひ利用度を上げて、金融リテラシー(活用の仕方)を身につけたい。